2017年05月13日
片平歯科医院の片平です。
5月も中旬にさしかかり、4月入社の新スタッフさんもだいぶ慣れてくれているところです。
2月から3月は怒涛の混み混みのアポイントで本当に目が回りそうでしたが、中村圭喜先生、保坂彩先生そして歯科衛生士&全スタッフのおかげでなんとか乗り切ることができました。
4月からは新スタッフさんへの指導および新体制への移行のため診療体制もおよそ半分近くのアポイントでした。最近は徐々に増やしつつありますが、まだまだご予約が取りにくい時間がありますことをお詫びいたします。
そんな片平歯科医院ですが、3月からに新しい院内コンピューターシステムとCT(歯科用コーンビームCT:CBCT)が導入されました。
CTとは、被写体に対して多方向からエックス線を照射し、被写体を通過したエックス線量のデーターを使用して、計算された断層像を再現する方法です。(←むつかしいですね///)
医科用CTと違い、(当院の)歯科用コーンビームCTは(以下CBCT)は2001年頃から販売された顎顔面領域を撮影対象とする撮影装置で、今回導入されたのはフラットパネルを採用する高解像度の最新世代です。患者さんは寝台で撮影ではなく立位または座位で撮影します。
CBCTの医科用CTに対する利点としては、
構造物の重複のない画像が得られ、患者さんの被ばく線量も少なくて済むのですが、
欠点としては、、(欠点ではないかもしれないのですが)
画像の取り扱いに慣れが(かなり)必要であります・・・。
実際一回の撮影でCT画像は積み木を積み重ねたような小さなボクセルの集合なのですが、その積み木の集合体をしてした位置および方向で切断することで任意の画像を生成する必要があるのです。このような3次元画像処理技術を「多段面再構成処理」(Multi-planar Reconstraction:MPR)と呼ぶようです。
(モリタHPよりご借用させていただきました)
通常のレントゲンであれば得られた画像をそのまま観察して診断すれば良いのですが、歯科用CBCTの場合はMPRを活用して診断すべき断面像は自分で生成する必要があるのです。MPRの操作自体は難しくないと言われますが、正確な診断を行うには相応の慣れが必要であり、空間認識が苦手な場合はかなりのトレーニングを受けることを推奨されています。。
患部全体の状況を把握するには通常のエックス線撮影が有効なのは変わりありませんが、CBCTではデンタルエックス線より明瞭に、見落とされた根管や骨吸収の範囲がわかり状況が詳細に観察されるので治療方針の決定に有用であることが改めてよくわかりました。
また埋伏した親知らずと神経・血管との位置関係はもちろんすぐわかりますし、インプラント治療に際し診断に大変有用です。(このお話は大変奥が深いのですが。。)
インプラントのプランニングソフトにCTデーターを読み込ませるところまでは以前から知っていましたが、今は模型の3次元データーをスキャナーで読み込んで(!)プランニングソフト上で重ね合わせて(!!)インプラント体の埋入位置をプランニングします。そしてそのままサージカルガイドも設計できるのです。(最近はこのワークフローが楽しいです)
何が何だかわからない(ような)専門用語の連発ですが、確実に診断技術がまた進歩しそれに合わせて私も進化と勉強をしなくてはいけなくなってきました。
ハイスペックなPCで画像解析やインプラントのプランニングに日々真剣に(笑)取り組んでいますが、なかなか大変です。
手強いのですが早くものにしたいですね。
約2年前から本格的に悩んでいた機種選びですが、購入して正解でした。次はもう一つデジタル化したいものがあるので頑張って勉強していきたいと思います。(明日はそんなことで最先端3Shape/Trios3を勉強してきます!)
ところで3月末で2人のスタッフが退職いたしました。
3年半ご勤務頂いた中村圭喜歯科医師は院長の出身医局である東京医科歯科大学のう蝕制御学分野の大学院修了後、
母校東京歯科大学病院へ教官として4月着任のため3月末でご退職されました。
中村圭喜先生は大変情熱を持って診療に取り組まれました。
朝は診療前から抜去歯牙で根管治療の練習をほぼ休みなく続けました。
また診療レポートを毎回提出を1年以上続けてくれました。(チェックは私がしていました)
実技は私も何回かは指導いたしましたが、ほぼ自主的にどんどんやって行ったような記憶です。
↓このような↓歯牙をひたすら顕微鏡のトレーニングも兼ねて行っていました。
レントゲンで確認もしていましたね。
なぜか写真は比較的多く残っておりまして。。
かなりの数を練習の後、担当する患者さんの簡単な症例から取り組んでいただきました。
私のアシストも立ちっぱなしでしたが、ずっと勉強のため頑張っていただきました。
インプラントのオペの助手も亀岡重雄先生とともに覚えていただきました。
デビュー時の写真はこちらにも→(旧ブログ)
最終出勤日、吉羽歯科衛生士が泣いています(?)
我々は中村圭喜先生が大変努力の人であることを知っています。
これからはその情熱を学生教育と研究に注いでいただき、頑張ってください。みんなで応援しています!
長い間ありがとうございました。
また3月31日は松原暢子歯科衛生士の最終出勤日でした。
松原衛生士は平成24年(2012年)4月16日に入職され、多くの患者さんを担当しました。
先のリンクにも(→リンクはこちら)書いておりますが、松原衛生士も大変努力の人でした。
1998年千葉県立保険医療大学歯科衛生士学科を卒業後、大手歯科メーカーに勤務の後片平歯科医院に入職されました。
(この業界では)誰でも知っているメーカーでセミナー講師などを務めていましたが、職務経歴書を見る限り臨床経験がありませんでした。そうなんです臨床経験がなかったのです!
なかなか国立(公立)の大学を卒業されてましてやメーカー勤務までされた方は「デキマセン」とは言えないと思いましたが、
謙虚な姿勢でひたすら実地を勉強し今に至ります。
入社当時は掃除から始まり診療アシスト、そのアシストをレポートにした診療レポートを毎日提出してくれました。
「今日は遅いので明日の分は明後日と合わせて出していいですか?」と言われた時も「ダメ」の一言で毎日提出させていたのを思い出します。「なんでもすぐやりなさい」が私口癖ですから(笑)。
そして院長として本当に半年くらいはピクリとも笑わなかったかもしれません(今は無理っかも)
同時期入社の先輩衛生士にもフォローしてもらいながら、ひたすら練習および読書を行い勉強と努力を続けていました。
入職して4年くらい経ったところから実力を発揮し始め一日10人近くを担当するようになりました。かなりのスロースターターですが、一気に実力が花開いた感じだと思います。
また、う蝕リスクのスクリーニング検査である「唾液検査」の導入も松原衛生士が頑張ってくれシステムを作ってくれました。予防に注力する片平歯科医院の方向性を理解され患者さんのために1年で250例以上の症例をデーター化し分析してくれた功績は大変大きく、患者さんのモチベーション向上に大変寄与してくれました。
ご結婚され地方に転居されましたが、かの地でも歯科医療人として活躍する日があることをお祈りしています。
ありがとうございました!
また保坂彩先生は、4月からお子さんのお迎えの時間の都合上しばらくお休みとさせて頂きます。
4月からは、三宅麻未歯科衛生士、平井千晴歯科衛生士、佐藤なつき歯科衛生士が入社し
新体制で頑張ってくれています。
院内勉強会も始まり、5月はインプラントのオペもどんどん始まります。
プロービングデビューもしたようです!
勉強をし続ける日々が続きますが、患者さんのために皆で頑張っていきたいと思います!
予約の取りにくい状況が続きておりますが、引き続きよろしくお願いします。
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お越しの際は、電話にてご連絡をいただけますと助かります。
よろしくお願いいたします。。
片平歯科医院
Tel 03-3431-6090
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2016年11月18日
「ちゃんと治療をしていれば患者さんはわかってくれる。患者さんはたくさん来てくれる。」これは完全に時代錯誤であって歯科医院がたくさんある現在、歯科医師のそんな思いだけでは患者さんにはきっと伝わらないと思って気を引き締めて日々歯科医療に取り組んでいます。
昔の話になりますが15年くらい前、当時勤務していた虎の門病院で、部長だった山田敏元先生が言ってくださった言葉が今でも忘れられません。
「片平君、患者さんには親切にしなさい」といきなり言われました。でも当時はその意味が全く理解できませんでした。あのときは歯科医師になって数年目、「俺は何でも出来る」と勘違いし、患者さん声ではなく治療ばっかりに(歯ばっかりに)目が向いていたんだと思います。そんな恩師の言葉がやっとよくわかるようになってきました。
当院は都内の歯科医院としては標準的な規模より少し多めの4台の治療イスですが、おかげさまで予約でほぼ一杯です。これは患者さんに当院の考えをご理解頂き、ファンになって頂いたことではないかと感謝しています。
特にこだわっているというわけではないのですが、やはり「カウンセリング」には重点を置いています。考え方にもよりますが色々な場面で説明と同意は大切です。直接利益を上げるわけでもなく時間と場所を使いますが、初診後に一通り診査および診断が済んだ方に限り必要に応じて行っており、当院で治療を行い通院していく患者さんから「安心感」や「満足感」を向上させることは大切だと考えています。
当院には4名の歯科医師(非常勤の矯正認定の先生は除きます)がおります。われわれ歯科医師の世界は職人の世界でもあり、院長の私が出来ないことを勤務医の先生が出来るということはまずありません。
しかし私に負けないように勤務医の先生がたも日々「とても」努力しています。信頼してください。
歯科衛生士はハード面としての医院の清潔・器具の消毒レベルの向上は言うに及ばず、知識技術を磨きわかりやすい言葉で患者さんと大切に接してくれています。だからこそ担当制で大事に患者さんを任せています。
歯科助手も、私の仕事観や医院の理念を理解してくれ一生懸命支えてくれています。
どんな職種も、新人にははっきりと言っています。仕事にはピラミッドがあり掃除から始めてもらう場合もあります。きれいに丁寧に掃除ができれば、仕事は正確で精度も高いことを知っているからです。そんな中、何年もかけてスタッフの成長する姿を見るのは私の喜びのひとつでもあります。
当院はチームワークの良いスタッフばかりでとても恵まれておりますが、ほぼ皆全速力で仕事をこなしており現状アポイント的にタイトな状況が続き皆さまにご迷惑ばかりをお掛けしていますが、そんな事情をご理解頂けますようお願い致します。
最後に近況を・・・
歯科助手・受付の田所史帆がデンタルコーディネーターの資格を取得しました(大阪でのセミナーは2日間びっちりだったようです)。今後は患者さんさまざまな疑問に答えることができるよう頑張ってくれると思います。
中村圭喜先生が日本歯科保存学会の認定医試験に合格しました。臨床症例の報告と筆記試験をクリアしました。私もうれしいです。
医院内勉強会ではテーマに沿った発表だけでなく、外部の衛生士さんの講演や新製品の体験なども行いました。
オペはおよそ月に2回くらいのペースで行っています。そろそろ中村圭喜先生のアシストも1年になります。最近は私も教えて頂いた口腔外科指導医の高橋雄三先生に相談してこっそり猛勉強中のようです。
インプラント学会には久しぶりに参加しました。わたしがもっとアップデートしなくてはいけません。
新しくて良いものは患者さんにとっても利益が大きく、導入しようと歯科医師みなで勉強会に参加し検討しています。
この世界、治療があまり好きではないらしい歯科医師がいることを私は知っていますが、
私はこの仕事が好きです。
今年も残りわずかですが、何卒よろしくお願い申し上げます。
2016年09月8日
何年も前の症例になりますが、知人の患者さんの根の治療を行いました。
おかげさまで(?)しっかりと治療ができて、経過は1年くらいは順調でした。
見ての通り(といって良いのかw)レントゲン上もキレイに写っています。
かぶせ物もセラミックで作製させて頂き、審美的にも満足頂けてよかったのです。
(オールセラミッククラウンの費用は170,000円×2本でした。写真は省略します\(__ ))
こちらもむし歯の治療を行いました。
コンポジットレジンで充填し、こちらも1年強は経過が良好でした。
しかし・・
どちらの症例もその後のご通院が途絶え、経過がわかりません。。。
この方々は初診時からとってもむし歯が多く、その出来やすさの原因を全く原因追及することなく治療が中断し5年以上が経っています。新しいむし歯が出来ているかもしれません。
「予後を追うことの大切さを・・・」
「むし歯を再び作ることの無いようにするプロフェッショナルケアを・・・」
「プラーク(バイオフィルム)の病原性が高まることのない(高病源化することのない)環境作りを・・・」
(↑これ一番大事です)
なんでもっと伝えることが出来なかったのかと、悩んでしまいます。
そうしないとキレイにクリーニングしてもむし歯を治しても、すぐ再発してしまいます。
そんな思いから当院ではむし歯のリスク判定のスクリーニングに
「唾液検査」を導入しているのです。
そして動的治療(くわしくはこちらで)が終わったら
メンテナンスに移行へするというところに力を入れています!
というわけで、片平歯科医院は予防管理型の攻める(笑)歯科医院です。
みなさまが安心できる、かかりつけ歯科医院になるよう努力しています。
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そんな感じでお力を貸してくれる予防を熱心で勉強したい歯科衛生士さんを募集しています。
ご興味がありましたら見学からでも大丈夫ですのでお気軽にご連絡ください。
(いきなり医院に見学希望とお電話頂いても大丈夫です)
こちら(←当院採用詳細のページへリンク)もご覧下さい
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2016年09月1日
4月から唾液検査をはじめています。
思いのほか皆様、リスク診断の結果から隠れた(?)生活習慣を改善される方が多く、嬉しい限りです。
むし歯が無くなると困るのでは?とか聞かれますが、別に何も困りません(笑)。
う蝕の予防を考えるとき、発症にかかわる要素は大きく分けて「宿主の感受性」と「細菌の活動性」の拮抗関係で表すことができると思います。
「宿主の感受性」とは唾液の流量と緩衝能、歯質の抵抗力などのことを指します。
↑ 今回は省略します・・
「細菌の活動性」とは歯面に対する強い付着能と高い酸産生能をもった細菌が口腔内に大量に生息しているかどうかに左右されます。
↓ 今回はこの話です
その細菌なのですが、
S.mutansとS.sobrinus 2種のう蝕病原性細菌を総称してmutans streptococciと呼び、
唾液中とプラーク中のミュータンス菌(という言い方をここではします)を測定します。
(選択培地で培養し、そのコロニー数を4段階に分けて判定)
みなさま測定結果に驚かれることが多く、こちらも驚きます。
mutans streptococciが少ない方でこれくらい。安心される方が多いですね。
(これくらいなら数えることが出来ます)
多い方ですと、
こんなにもあります。 これにはかなり驚かれます。(これは数えられません。。。)
こんなにもミュータンス菌がおりますと、sucrose(しょ糖)が供給されると不溶性グルカンが形成され菌は強固に歯面に付着することが出来てしまいます。さらに付着能の無い細菌、たとえばLactobacilliまで付着がはじまりプラーク(歯垢)はどんどん成熟してしまうのです。
理論上はプラークが無ければ、何をどれだけ食べてもむし歯にはなりませんが、歯垢のない方なんていませんからね・・。結局食べれば食べるほど歯垢は成熟し、病原性が増して、細菌は活発になるとおもいます。(食べても磨けばむし歯にならないということはないと思うんです)
なので唾液検査から、むし歯の潜在的リスクの高い方
すなわちMutans sterptococciが高い方にはそれに合った対策を、Lactobacilliが高い方には食事指導を中心とした対策を行って精度の高い予防を目指しています。
でも、患者さんの意識が大きく変わる時がうれしいんですけどね。
それは待合室が患者さんで一杯になるときと同じくらい、
この仕事をしていて良かったと思う瞬間です(笑)。
2016年08月25日
はじめてMTAを使ってから10年近く経ちます。
グラムあたり数万円と大変高価な材料ですが、残せる神経が多い事に
最近の臨床写真を整理していて気がつきます。
しかし、その使用は熟練を要する大変テクニックセンシティブな材料ですし、
この数年やっとコツを掴みつつありますレベルですが(笑)。
新しいケースになりますが、何回か他院でむし歯治療を行い、症状が出ているこのケース。
慎重に古い充填物を除去したところ、すでに神経が露出している状態でした。。。
止血もあまり良くありませんが、MTAをやや強圧で充填。数分後止血を確認します。
穿孔封鎖のInternal Matrix Techniqueに似た考え方で良いのかもしれません。
ただしMTAには性能差がある(と思う派です)のでPro rootを使います。
左隣の第二小臼歯の修復は途中のかっこの悪い写真ではありますが、
右の患歯は2週間後に生活反応を確認し経過観察に入りました(患歯は右の第一大臼歯)。
もう一つ、充填物下にむし歯が広がっており、神経と交通していたこのケース。
こんなに出血してはおりますが、最近はこの程度では怯(ひる)まなくなりました♪
う蝕検知液を用いてむし歯を除去したところ出血していましたが、同様にMTAにて覆罩(ふくとう)し、止血確認後修復しました。こちらも修復後生活反応を確認し経過観察中です。
いくつか条件が条件が揃い、”適切な環境”で”適切に使用する”と非常に素晴らしい性能を発揮するようです。今後は、Complete HealingなのかIncomplete Healing、Uncertain Healing、Unsatisfactory Healing(Failure)なのか臨床症状やレントゲンから長期の経過を見ていく必要はありそうです。。。
成功率が高い事を過信することなく、症例選択のための術前診査や基本術式などのステップを疎(おろそ)かにすることもなく、と肝に銘じて患者さんに向かい合って治療を行っていきたいです。
あたらしいホームページになって約1ヶ月強、せっかくの新ブログですが
全然、患者さん目線でないマニアなブログになってしまいました(>_<)ゞ。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。